当事務所の方針をご説明するうえで、最も大切なテーマのひとつが自計化です。
ただし、自計化という言葉は、誤解されやすい言葉でもあります。
単に「会計ソフト入力をお客様に任せること」と受け取られることがあるためです。
しかし、当事務所が考える自計化の本質はそこではありません。
是非「うちには経理経験者がいないから無理だ」と思われている方もお読みいただけますと幸いです。
自計化とは、会社が自社の数字を自社で把握することです
当事務所が考える自計化とは、
会社が自社の取引を自社で理解し、適時に記録し、その数字を経営判断に使える状態をつくることです。
つまり、自計化は単なる入力作業の話ではなく会社が数字の当事者になることです。
取引の実態を最もよく知っているのは会社自身です
日々発生する売上や経費、入出金、契約内容、支払いの背景など、取引の実態を最もよく知っているのは、外部の税理士ではなく、会社の経営者や現場の担当者です。
たとえば、
- この支出は何のために行ったものか
- この入金は売上なのか、仮受金なのか
- この取引はいつ完了したと考えるべきか
- この支払いは事業に必要なものか、それとも私的なものが混ざっていないか
といった判断の前提となる事実は、取引が発生した時点では会社側が最もよく把握しています。
そのため、取引発生のタイミングに近いところで会社自身が記録を行うことは、会計処理の適時性だけでなく、内容の正確性を高めるうえでも非常に重要です。
ただし、自社入力だけでは客観性が弱くなります
一方で、会社が自社で入力するだけでは、それだけで十分とは言えません。
なぜなら、会社の内部だけで数字を作る場合、どうしても
- 仕訳作成者の認識に偏る
- 慣習的な処理がそのまま続く
- 税務上の論点が見落とされる
- 科目の選択や計上時期が自己判断になりやすい
- 第三者の視点による確認が不足する
という問題が起こり得るからです。
つまり、自計化には当事者性という強みがある一方で、客観性を補う仕組みが不可欠です。
月次巡回監査により、数字の客観性と信頼性を担保します
そこで重要になるのが、当事務所による月次巡回監査です。
当事務所では、お客様が日々記帳された内容について、毎月の巡回監査を通じて確認を行います。
この巡回監査は、単に入力ミスを探すための作業ではありません。
外部専門家である税理士事務所が継続的に関与することで、会社内部で作成された数字に客観性を持たせることに大きな意味があります。
具体的には、巡回監査を通じて、
- 売上や経費の計上に漏れや誤りがないか
- 計上時期にズレがないか
- 取引内容に対して科目選択が適切か
- 個人支出と事業支出が混在していないか
- 証憑や契約書と帳簿内容が整合しているか
- 税務上注意すべき論点がないか
を毎月確認していきます。
このプロセスにより、会社自身が把握している取引の実態と、税理士事務所による専門的かつ第三者的な視点の両方が数字に反映されます。
その結果として、帳簿や試算表は単なる社内管理資料ではなく、
**税務にも、金融機関への説明にも、経営判断にも耐えうる“信頼できる数字”**になっていきます。
自計化と月次巡回監査は、一体で考えるべきものです
当事務所が重視しているのは、
会社が取引の当事者として数字をつくり、税理士事務所が外部専門家としてその数字を検証する
という役割分担です。
この両方がそろって初めて、
- 数字が早く見える
- 内容の理解が深い
- 客観的なチェックが入る
- 処理の誤りを早期に是正できる
- 数字の説明力が高まる
という状態を実現できます。
つまり、当事務所にとって自計化と月次巡回監査は別々のものではなく、
セットで初めて意味を持つ仕組みです。
6.「うちには経理ができる人がいない」という不安について
自計化のお話をすると、多くのお客様が最初に不安に思われるのが、
「うちには経理ができるスタッフがいない」
という点です。
これは非常によく分かるご不安です。
実際、中小企業では、最初から経理経験者が社内にいるとは限りません。
むしろ、専任の経理担当者がいない会社の方が多く、社長ご自身や総務担当者、あるいは本業を抱えながら事務を兼務されている方が対応されているケースも少なくありません。
そのため、当事務所では、自計化を「できる会社だけが取り組むもの」とは考えていません。
当事務所が目指しているのは、
最初からできる人がいることではなく、
できるようになる体制をつくることです。
7.当事務所は「経理人材育成」まで含めて支援しています
当事務所では、自計化を単に会計ソフト導入の問題とは考えていません。
本当に重要なのは、会社の中に数字を扱える人材と習慣を育てることです。
そのため、当事務所では、会計ソフトの操作説明だけで終わるのではなく、
- 日々どのように取引を整理すればよいか
- 何を見て入力すればよいか
- どの資料を残すべきか
- どこで迷いやすいか
- 月次で何を確認すべきか
といった実務の流れを含めて、経理人材の育成を重視しており、これら支援に関しても顧問料に含まれています。
中小企業の経理は、最初から完璧にできる人を採用しなければ回らないものではありません。
むしろ実際には、基本的なルールを決め、継続的に確認し、少しずつ慣れていくことで十分に形にしていけるものです。
経理が難しく感じられるのは、専門用語や税務論点が多く、最初に全体像が見えにくいからです。
しかし、実務として必要な内容を順序立てて整理すれば、未経験の方でも十分に対応できるようになります。
当事務所では、その「できるようになるまで」の伴走を重視しています。
8.未経験でも、仕組みがあれば必ずできるようになります
経理未経験の方が不安を感じるのは当然です。
ただ、ここで重要なのは、経理は一部の特別な人だけができる仕事ではない、ということです。
もちろん、高度な税務判断や難しい会計論点は専門家の領域です。
しかし、会社の中で日々必要になる経理実務の多くは、
- 請求書や領収書を整理する
- 売上や入金を確認する
- 経費の内容を把握する
- 通帳や明細を確認する
- 一定のルールに沿って入力する
といった、基本動作の積み重ねです。
つまり、必要なのは特別な才能ではなく、分かりやすいルールと、継続できる仕組みです。
当事務所では、お客様ごとに業種や社内体制に応じて、
「どこまでを社内で行い、どこを当事務所が確認・支援するか」
を整理しながら進めていきます。
そのため、最初の段階で経理経験者がいなくても問題ありません。
最初から高い完成度を求めるのではなく、毎月の巡回監査を通じて、実務を回しながら精度を高めていくことが重要だと考えています。
当事務所では、未経験の方でも経理を継続できるよう、仕組みづくりと定着支援を重視しています。
9.所長自身が「経理が分からない側」の感覚を理解しています
当事務所では、経理未経験の方への支援を重視していますが、それは単なる一般論ではありません。
所長自身、もともとは営業出身であり、最初から経理や会計の実務が自然に分かっていたわけではありません。
だからこそ、
- 会計用語が急に難しく感じること
- 何をどう見ればよいのか分からず戸惑うこと
- 「こんなことを聞いてよいのだろうか」と不安になること
- 経理に苦手意識を持ってしまうこと
を、机上の理屈ではなく実感として理解しています。
経理に苦手意識のある方に対して、専門家が最初から高度な言葉で説明してしまうと、それだけで距離が生まれます。
しかし本来、会社経営に必要なのは、経営者や担当者が会計士や税理士レベルの知識を持つことではありません。
自社のお金の流れと数字の意味を、実務上必要なレベルで理解し、動けるようになることです。
所長自身が営業出身だからこそ、
「経理が得意ではない方が、どこでつまずきやすいのか」
「どう説明すれば腹落ちしやすいのか」
を強く意識しています。
当事務所が目指しているのは、専門知識を一方的に押し付けることではなく、
お客様の会社の中に、実際に回る経理体制を一緒につくることです。
10.自計化とは「会社に丸投げすること」ではありません
ここは誤解されやすい点ですが、当事務所が自計化を重視するからといって、会社側にすべてを任せるという意味ではありません。
当事務所が考える自計化は、
- 会社が日々の取引を把握し、記録する
- 当事務所が月次巡回監査で内容を確認する
- 必要な修正や改善点をその都度共有する
- 少しずつ社内の経理水準を高めていく
という、伴走型の体制づくりです。
つまり、自計化とは放任ではなく、
会社の当事者性と、税理士事務所の専門性・客観性を組み合わせることです。
だからこそ、経理経験者が最初からいなくても、当事務所では十分に取り組んでいただけると考えています。